日本ではあまり聞き慣れないTAFE(テイフ)ですが、Technical and Further Educationの略称でオーストラリア公立の職業訓練専門学校のことをTAFEと呼んでいます。TAFEはコース数が非常に多く、即戦力となる人材育成に重きを置き、コースによっては取得した単位を大学に移行し2年次に編入することができるなど様々な特徴を持つ教育機関です。今回は職業訓練専門学校のTAFEについて詳しく紹介していきます。
1. TAFEについて
TAFEとは、Technical and Further Educationの頭文字を取った略称で、公立の職業訓練専門学校のことです。
TAFEは6つの各州と2つの準州のそれぞれが主体となり資金調達から運営までを行なっているため、州によって管轄が異なります。
州によって管轄が異なるということは、例えばTAFEを経由して大学編入を目指す場合、ニューサウスウェルズ州(NSW)とクイーンズランド州(QLD)では提携している大学も異なるため、必ずしもTAFE経由で志望大学へ編入できる訳ではないので注意が必要です。
つまり、ニューサウスウェールズ州のTAFEからA大学へ編入できても、クイーンズランド州のTAFEからはA大学へ編入できない、でもB大学へは編入できるということが起こり得るということです。
2. TAFEの特徴
TAFEの大きな特徴は、
学費が安い
コース数が多い
幅広い年齢層
の3つが挙げられます。
学費が安い
一般的な大学の学費は約AU$30,000~40,000(約270万円~360万円)/年間 ですが、TAFEの場合、約AU$12,000~16,000(約98万円~144万円)と学費が安いです。(受講するコースによっては記載の学費より高い場合もあります。)
TAFEのディプロマコースやアドバンス・ディプロマコースを規定の成績で修了すると、提携している大学に編入できるため、大学に比べて1年間にかかる学費を抑えて大学を卒業することができます。
例:TAFEでDiploma of Businessのコース(1年)を修了→Bachelor of Businessの2年次に編入
注意点は前項で記載した通り、州によって管轄が違うので、進学したい大学のコースと提携しているTAFEを選ばないといけない点です。
ご自身で確認できない場合は弊社のみならず、専門の留学エージェントとしっかり相談して進路を決めることをオススメします。
コース数が多い
TAFEで開講されているコースは非常に多く、一般的なビジネスやツーリズム、デザインなどのコースに加え、オーストラリアならではのマリン・ツーリズム、ワインメーキング(ブドウ栽培とワイン醸造)、オーストラリア先住民のアボリジニ学など興味のある分野を学ぶことができます。
大学では学術的な理論などの学習が中心ですが、TAFEでは職業に直結する実践的な知識や技術の取得を目的としていて、実際にその分野で活躍している方を臨時の講師として招き、実社会で直面するシーンや経験など授業を通して学び、卒業後に即戦力として働ける人材育成に重きを置いています。
ですので、コース修了後に大学編入を目指す生徒だけでなく、就職を目指す生徒や現在就いている職業のキャリアアップのために通っている生徒など、さまざまな目標を持った学生がいます。
幅広い年齢層
TAFEでは、10代の学生やキャリアアップを目指す20代、転職のために専門技術を身につけたいと通う30代以上の社会人など、幅広い年齢層の生徒が在学しています。
そして、学生の約80%~90%程が現地オーストラリア人で、ちょっとした休憩時間であっても、現地の考え方や文化、習慣などオーストラリアに触れる機会が増え、受ける刺激も多いです。
一方で気をつけたい点は、ほとんどがオーストラリアの学生ということは、外国人が少ないということです。オーストラリアの生徒とコミュニケーションを取るには高い英語力が求められるだけでなく、文化や習慣を理解し自己主張することも求められます。
実際に、クラスに馴染めずにコースの途中で自主退学してしまうケースもありますので、TAFEの特徴とメリット・デメリットをしっかりと理解した上で進路の候補として検討してください。
3. 取得できる資格について
TAFEで取得できる資格は下記の通りになります。
学位 | コース期間 |
Certificate 1 | 4ヶ月〜6ヶ月 |
Certificate 2 | 6ヶ月〜8ヶ月 |
Certificate 3 | 6ヶ月〜 |
Certificate 4 | 12ヶ月〜 |
Diploma | 12ヶ月〜 |
Advanced Diploma | 24ヶ月〜 |
Bachelor | 36ヶ月〜 |
Certificateはコース修了の証明書で、Diploma以上が資格となります。
また、一部のTAFEでは、大学と同じBachelor(学士号)のコースを開講しています。
4. 入学条件について
TAFEのディプロマコースへ入学する条件は、
学力 | 英語力 |
高校を卒業していること | IELTS5.5相当 |
が一般的ですが、芸術系や理系コースを希望する場合、作品の提出や理系科目の履修が求められる場合があります。
また、専門性の高い翻訳・通訳、医療の分野などでは、IELTS5.5以上の英語力が求められます。
英語力が足りない場合は、TAFE付属の英語学校で必要な英語力を身につける必要があります。そして、英語学校のコースを規定の成績で修了することで、IELTSのスコアなしでディプロマコースを受講することができます。
5. 入学に必要な書類について
TAFEへ入学する際に必要となる書類は、
入学願書
パスポートのコピー
最終学歴の卒業証明書(日・英)
最終学歴の成績証明書(日・英)
英語力の証明書
上記の通りになります。
芸術系へ進学する方は、ポートフォリオ(作品)の提出が求められる場合があり、提出する作品を通して芸術の基礎知識や表現力などが査定されます。
まとめ
TAFEは公立の職業訓練専門学校で、州によって管轄が異なる
TAFEは、「学費が安い」、「コース数が多い」、「幅広い年齢層」などの特徴がある
Certificateはコース修了の証明書で、Diploma以上が資格となる
TAFEのディプロマコース受講条件は、「高校を卒業していること」、「英語力 - IELTS5.5相当」
TAFEへ入学する際に必要となる書類は、「入学願書」、「パスポートのコピー」、「最終学歴の卒業証明書(日・英)」、「最終学歴の成績証明書(日・英)」、「英語力の証明書」が必要
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